## 地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」(細谷功 著) ``` 地頭力の本質は、「結論から」「全体から」「単純に」考える三つの思考力である。 この三つの思考力は訓練によって鍛えることができるものであり、 地頭力を鍛えるための強力なツールとなるのが「フェルミ推定」である。 ``` -------------------------------------------------------------------------------- ## 内容紹介 ``` 企業、コンサルティング会社の採用現場などでは、単に頭がいい人ではなく、 「地頭のいい人」が求められている。 地頭力とは何か。 地頭力の本質は、「結論から」「全体から」「単純に」考える3つの思考力である。 すなわち  「結論から」考える仮説思考力、  「全体から」考えるフレームワーク思考力、  「単純に」考える抽象化思考力だ。 この3つの思考力は鍛えることができるものであり、地頭力を鍛える強力なツールとなる のが「フェルミ推定」である。 例えば、「シカゴにピアノ調律師は何人いるか?」。 こうした荒唐無稽とも思える問いへの解答を導き出す考え方のプロセスを問うのが、 「フェルミ推定」だ。 「フェルミ推定」と呼ばれるのは、ノーベル物理学賞受賞者、エンリコ・フェルミに 由来する。 本書では、「日本全国に電柱は何本あるか?」といった例題やその解答例から 「フェルミ推定」のプロセスを紹介しつつ、「好奇心」「論理的思考力」「直感力」と いう地頭力のベースとそれらのベースの上に重なる仮説思考力、フレームワーク思考力、 抽象化思考力の3つの構成要素とその鍛え方を解説している。 ``` -------------------------------------------------------------------------------- ## 目次 ### 第1章 「地頭力」とは何か - 地頭力とは、3つのベース(知的好奇心、論理思考力、直観力)の上に3つの思考力、  仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象化思考力)で構成される - つまり、「結論から」「全体から」「単純に」考える事で、物事を圧倒的に効率よく  進める事ができる - 地頭力とは考える習慣でフェルミ問題で鍛えることができる。今後は、地頭型多能人  (バーサタイリスト、理屈で考えて感情で行動する人)の需要が増える ### 第2章 「フェルミ推定」とは何か - 物理学者フェルミが得意だった物理量を短時間で概算する思考法 - フェルミ推定は、伝統的にコンサル会社の採用面接の質問で用いられる - フェルミ推定は問題解決の縮図であり、簡単・身近・練習に有用なツールである ### 第3章 フェルミ推定でどうやって地頭力を鍛えるか - 例題「日本全国の電柱は何本あるか?」の体験でもあるように、ポイントは解答に至る  プロセスである - フェルミ推定の解答プロセスは3つの思考力を駆使する必要がる - 「結論から」考える:仮説思考力 - 「全体から」考える:フレームワーク思考力 - 「単純に」 考える:抽象化思考力 - 地頭力チェックリストで自分の考え方のクセを知れば、今後のトレーニングに活かせる ### 第4章 フェルミ推定をビジネスにどう応用するか - フェルミ推定の利用目的は、その基本精神やプロセスを身近な問題解決に活用すること - フェルミ推定の精神を学ぶ:例えば下のようなものである  1.「検索中毒者」:考える前に検索するクセがあるので、自分の頭で考えるクセつける  2.「完璧主義」 :効率が二の次になりがちなので、「タイムボックス」思考を学ぶ  3.「情報コレクタ:使わない情報も集めがちなので、仮説を立てるクセをつける  4.「猪突猛進型」:思い込みで暴走しがちなので、客観的に全体像で考える  5.「自己防衛型」:自分範囲に集中しがちなので、各因数のバランスを考える  6.「経験重視型」:自己経験を頼りにしがちなので、一般化・抽象化で応用力をつける ### 第5章 「結論から考える」仮説思考力 - 仮説思考の思考パターンとは、  1.今ある情報だけで最も高い結論(仮説)を想定し  2.常にそれを最終目的地として強く意識して  3.情報の精度を上げながら検証を繰り返して、仮説を修正しながら結論に至る - "最終目的地から逆算する"と捉えると応用範囲が、「終わりから」「やるべき事から」  「相手から」「目的から」などベクトルを逆転する発想がでる - 実践ポイントは、   1.どんなに少ない情報でも仮説する姿勢   2.前提条件を設定して進む力   3.時間を決めて結論を出す力  であり、留意点として次の事を覚えておく   1.仮説は最新情報に基づいて進化・ブラッシュアップする   2.仮説は早期の結論が出るので、深堀が甘くなる。という自覚を持つ ### 第6章 「全体から考える」フレームワーク思考力 - フレームワーク思考は、「思考のクセ(思い込み)を取り払うため」に使う。これで  1.コミュニケーションを進めるため  2.ゼロベースで発送するため    に活用できる - 人は皆、独自の見方でコミュニケーションするから、実践ポイントは、  1.個人個人の相対座標(個人の立場・役割)を意識する  2.共通に考える絶対座標(共通点・共通目的)を意識する - フレームワーク思考は、「全体俯瞰力」と「分解力」に分けられ、  ①全体俯瞰 ⇒ ②切り口選択 ⇒ ③分解 ⇒ ④因数分解 ⇒ ⑤全体俯瞰(再考)  で進める。留意点として、  1.思考そのものを枠にはめるので、思考の固定化が起きるリスクがあるを意識する ### 第7章 「単純に考える」抽象化思考力 - 抽象化志向は、対象の最大の特徴を抽出して一般解を導く考え方で、「1から10を知る」  ためのに利用する。これにより、応用力を向上させるメリットがある - 抽象化思考の基本プロセスは、①抽象化 ⇒ ②解放の適用 ⇒ ③再具体化 で進む - 基本概念は「共通点を探す」ことにあり、実践ポイントは、  ①モデル化、②枝葉の切り捨て、③アナロジー(類推)であり、留意点は、  「自分は特殊だ」「このケースは特殊だ」という思い込みが抽象化を阻害するので、  1.具体化とのバランスを常に意識する  2.過度の一般化はしないことを意識する ### 第8章 地頭力のベース - 地頭力は、「知的好奇心(なぜ?と思う心)」を根源的な原動力にして、その上に  1.「論理力」= だれがみても一貫した見方ができること  2.「直観力」= 個人特有のアイデアで構成される    で構成される - 知的好奇心には、2種類あり  1.問題解決型(Why型) :問題解決に興味あること と  2.知識探索型(What型):問題の解答に興味があること とがあり  Why型 は地頭力に有益だが、What型は有害となる場合がある - 問題解決型(Why型) 好奇心を養うには、何でも疑ってよい解決策を考えるクセをつける ### 第9章 さらに地頭力を鍛えるために - フェルミ推定は、問題解決の方法論として活用し、大企業病(完璧主義・自己範囲主義)  の克服に有用となりえる - フェルミ推定の訓練として、日常的に  1.電車広告の改善、三分間事業シュミレーション  2.エレベータテストで「いつでも」「短時間」で答えるための頭の中の整理  を行うことが役立つ。また、統計などの数字への感度を上げておく - 考えるときは「地頭力」が役立つが、実践するときは対人感性力を駆使する。  これらをバランスよく使いこなせる人が「地頭型多能人」となりえる -------------------------------------------------------------------------------- ## 著者等紹介:細谷功[ホソヤイサオ] ``` ザカティーコンサルティングディレクター。神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業。 東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(ザカティーコンサルティングの前身) に入社。製造業を中心として製品開発、マーケティング、営業、生産等の領域の戦略策定、 業務改革プランの策定・実行・定着化、プロジェクト管理、ERP等のシステム導入、 およびM&A後の企業統合等を手がける ``` --------------------------------------------------------------------------------